積ん読とトキメキと(完結編)

積ん読vsトキメキ派の話。 積ん読派の宿敵であるこんまり氏はすでに、世界進出を果たしている。 「KonMari」や「Kondoする」は英語として成立しているそうだし、敵ながらお見事というほかはない。 こんまり氏をスターダムに押し上げたのはネットフリックスの…

9月12日土曜日、船橋市で『パーキンソン病の診断加療とケア』を講演させていただきました

去る9月12日土曜日、船橋市の塚田公民館で『パーキンソン病の診断加療とケア』を講演させていただきました。 コロナ対策のため人数を減らしソーシャルディスタンスを保った講演会でした。 小雨の中、お集まりいただいた皆様、ありがとうございました! 3…

積ん読とトキメキと(その9)

〈電子書籍も紙と変わらず、積ん読しまくっている。物理的積ん読は、生活空間に置かれた本の存在によって無言の圧力を感じられるのだけど、電書の場合単なるデータだ。時間が経つにつれて、買ったタイトルも無料のタイトルも等しくリストの一部となって、ク…

積ん読とトキメキと(その8)

しつこく積ん読派とトキメキ教の話。 〈かりに天界・気象界の事象にかんする気がかりとか、われわれにとって死が何ものかでありはすまいかという気がかりとか、さらに、苦しみや欲望の限界についての無理解とか、これらのことどもがすこしもわれわれを煩わさ…

積ん読とトキメキと(その7)

大空のもとに生きる人は、空の広さを知る。たとえその空を飛ぶことはなくとも。そびえたつ山のもとに生きる人は、山の高さを知る。たとえその山に登ることはなくとも。青い海のそばに生きる人は、海の深さを知る。たとえその生みに潜ることはなくとも。そし…

積ん読とトキメキと(その6)

積ん読派とトキメキ教の戦いは続く。 積ん読派とトキメキ教の戦いについて書いている。 知識社会において、知は力である。本は読まなくても持っているだけで力になる。そう信じてきたし、そう信じている。なぜなら、よる夜中でも台風の日でも、何か調べたい…

積ん読とトキメキと(その5)

〈作家のウンベルト・エーコは博学でものを見る目があり、人を飽きさせない数少ない学者の一人だ。彼は(三万冊にも及ぶ)膨大な蔵書を使って、やってくるお客を二種類に分類している。「おお!シニョーレ・プロフェッソーレ・ドットーレ・エーコ!大変な蔵…

積ん読とトキメキと(その4)

〈「あなたなら、たとえばうちの四十年史を担当されたとして、どういう本を造られますか」おれはまた天井を見上げてからゆっくりと答えた。「十ポイント、写植の十四級の大きさですね。歯送りをゆったりと取って行間は全角アキ。四十一字詰め十五行。余白も…

積ん読とトキメキと(その3)

積ん読vsトキメキの話。 積ん読は今や国際語だ。Wikipedia英語版にはちゃんと「tsundoku」の項があるし、2018年にはイギリスBBCで「tsundoku/積ん読」の特集が組まれた(*)。 「積ん読」を一躍世界に広めた功績者の筆頭はもちろんエラ・フランシス・サンダ…

積ん読とトキメキと(その2)

就いてみたい職がある。図書館の住み込み管理人だ。 〈(略)(留学から)帰ってくると上智大学の講師になり、志願して図書館の住込み宿直員になった。図書館のまだ空いているところに私の本を置いてもらい、同じ建物の中の夜警宿直者用の小部屋に住まわせて…

積ん読とトキメキと(その1)

いま積ん読界は、危機に瀕している。 言うまでもなく、こんまりのせいである。 大ヒット『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版 2011年)で、こんまりこと近藤麻理恵氏はこんなことを書いている。 〈そもそも本というのは、紙です。紙に文字が印刷…

Be here now.

…カロリーオーバー?そうかな?そうかもしれない。いやきっとそうだろう。だがな、考えてもみろよ。これからの一生、こんなにも美味しくアイスキャンディーを食べられる日が、あと何日ある?蒸し暑い夏の夕方。空は晴れている。これから星も出るだろう。もっ…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その11)

夏の終わりに『9勝6敗』考。 友人Tから教えてもらった色川武大氏の『うらおもて人生録』(新潮文庫)、特にその中の『9勝6敗』戦略についてつらつら考えた夏であった。ほんとは「なんだかんだで15回に渡り書いてきた。うまく書けた話もそうでない話もあった…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その11)

夏の終わりに『9勝6敗』考。 友人Tから教えてもらった色川武大氏の『うらおもて人生録』(新潮文庫)、特にその中の『9勝6敗』戦略についてつらつら考えた夏であった。ほんとは「なんだかんだで15回に渡り書いてきた。うまく書けた話もそうでない話もあった…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その10)

気力が尽きるまで『9勝6敗』戦略の話。 勝ち逃げが許されない賭場で勝ち逃げするための一手法として、プロの博徒はその晩の「勝ちライン」を宣言しその場の空気を支配するという。「今日の俺の目標は百万円。百万円勝ったら上がっちゃうよ」と宣言することで…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その9)

夏休み明けに「9勝6敗」戦略の話。この話の中で最も「目からウロコ」だったところです。 さて、すでに見たとおり、賭場というのは勝ち逃げを許さぬ場所である。そんな勝ち逃げを許さぬ賭場で、博徒はいかにして勝ち逃げるのか。先に掲げた安倍譲二氏の書いた…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その8)

相変わらず『9勝6敗』戦略について考えている。 「これはね、下座行(げざぎょう)なんだよ」一心不乱に壁を磨きながら、その人は言った。 街の一角をキレイにする会(仮)みたいなところに参加させてもらったことがある。ぼくの誤解や浅薄な理解で迷惑をか…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その7)

しつこくしつこく『9勝6敗』戦略の話。 「あいつさあ、許せないよな。当選初回で俺より当選回数少ないくせに、いつも俺より先にエレベーター乗るんだぜ」とあるベテラン議員の人がぼそっと言った。人間にはそういうところが、ある。 勝ち抜けを許さない賭場…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その6)

しつこく『9勝6敗』戦略の話。勝ち逃げを許さない賭場からおそらく勝ち越して生還した色川氏はどんなことを言っているか。 いわく、〈だませ。そして、だまされろ。〉(前掲書p.208)〈(略)もう少しべつのいいかただと、(人に)利用されろ。そのかわり、…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その5)

色川武大氏の『9勝6敗』戦略について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 賭場で若い頃をしのぎ切って生還した色川武大氏が到達したのが全戦全勝ではなくコンスタントに9勝6敗を狙う戦略だ。大前提となる「賭場で…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その4)

色川武大氏の著書『うらおもて人生録』に出てくる『9勝6敗戦略』について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 15戦15勝を無限に続けていくのは無理だ、むしろ恐れるべきはあえて9勝6敗を狙いにきている人で、こういう人はなかなか…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その3)

色川武大氏の『9勝6敗戦略』について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 話の前提には、人間というものは、ほうっておくとだいたい勝ちと負けが同じくらいに均衡、収斂しプラマイゼロになる、という認識がある。勝ち星ばかりの人もいるじゃないか…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その2)

色川武大氏の『人生、9勝6敗戦略』について考えている。 www.hirokatz.jp まず大前提として、人生トータルで見たときに連戦連勝、勝ち星だけという人はほぼ皆無である。現代の職位の最高位の一つ、アメリカ合衆国大統領に就いているトランプ氏だってキャリア…

色川武大『9勝6敗』戦略考(その1)

〈九勝六敗を狙え〉。 友人Tに教えてもらった色川武大『うらおもて人生録』にそんな話を見つけた。色川武大といえば『麻雀放浪記』(阿佐田哲也名義)の作者だ。そんな“ばくち打ち”が連戦連勝ではなく九勝六敗を狙えというからには理由がある。 自伝的小説『…

カルピスウォーター「夏限定ボトル」とバリ島のゲーセン。

パッケージに惚れて購入したカルピスウオーターを飲み干して、光にかざしながらボトルをみつめていた。ボトルには、波打ち際に遊ぶ制服姿の高校生の姿。頭の中にはヨルシカ『ただ君に晴れ』が鳴る。海辺の町の青春、って感じだ。 ところがそこである疑問が湧…

「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」という若者への無責任なアドバイス試案(その3)

「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」という若き日の自分に向けて書いている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp ⑨自分が徹夜できることをやれ。「自分が好きなこと」「自分が得意なこと」もよ…

「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」という若者への無責任なアドバイス試案(その2)

「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」と悩む若き日の自分に向けて書いている。 www.hirokatz.jp 友人Iさんご指摘のとおり歴史を振り返れば人類のほぼ全ては食うや食わずで必死でやってきたわけ…

『ALS患者の依頼を受け嘱託殺人/安楽死 医師にSNSで依頼か』というニュースを見て、町医者が「なんて独善的な事件なんだ」と思う理由。

確たる情報もないなかで軽々に何か言うべきでもないし言うつもりもないが、独善的で軽率な、やはり犯罪としかいいようない事件が起こったようだ。 news.yahoo.co.jp 一般論として述べる。盛永審一郎『終末期医療を考えるために』(丸善出版 平成28年)によれ…

「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」という若者への無責任なアドバイス試案(その1)

「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」そんな思いにとらわれたことのある人は少なくない。青年期特有のものなのか、人生100年時代には周期的に襲ってくるものかはわからない。若かりし頃の、そう…

『ラーメンハゲ』と『流行唄(はやりうた)』(その2)

13歳の時に、宗教の先生が生徒たちに聞いた。「君たちは、ほかの人たちに何によって憶えられたいかね」生徒たちは誰も答えられなかった。先生は言った。「今答えられなくてもかまわない。でもね、50歳になっても自分が何によって憶えられたいか答えられなけ…