「身の丈に合った受験を」萩生田文科相の発言を機に考える、選挙区と政治姿勢

文科相の「身の丈」発言。 みんなが「身の丈」のままだったら世の中現状維持で経済発展もしない。昨日より今日、今日より明日を良くしたい、今の「身の丈」を越えていこうとするからこそ、少しずつ世の中が発展する。それを手助けするのが国であり公教育なは…

白い天井を見続ける人と、白い天井を見続けた人へーアレックス・バナヤン『サードドア The Third Door』(東洋経済新報社)

〈人間、やはり一人では生きていけないのだろう。たった一人で生きていける人もいるが、大半の人は、家族がいて、友達がいて、そこでやっと自分の道に向かう梯子を上り始めることができるのではないかと思う。以前父が、「年配の人はな、若い奴が夢に向かっ…

引く医者、引かぬ医者part.8~多くの患者さんは、自分の病名を覚えていない、という話。

引く医者引かぬ医者の話。 「患者さんを主力としたチーム医療」とは何かを語る前に、非常に残念な事実を話さなければならない。前提として、ぼく自身は軽症慢性期比較的ご高齢の患者さんの外来診療を生業としていて、限られた地域の限られた範囲の患者さんを…

引く医者、引かぬ医者part.7~「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」の話。

引く医者引かぬ医者の話。 医療業界のスラングで「引く医者」と言えば、受け持ち患者さんがなぜだか次から次へと重症化していく医者のことを言う。「引く」原因には複数の要因があり、スーパーナチュラルな部分もあるかもしれないが、人智の及ぶ範囲で「引か…

引く医者、引かぬ医者part6~「様子見ましょう」と言わない、ということ。

引く医者と引かぬ医者の話。 担当した患者さんが片端から重症化したり、アクシデントが多発したりする状態を、医者のスラングで「引く」という。若い間、十分なバックアップとフィードバックのもとで「引く」のは悪くない。多くの経験、とくにトラブルシュー…

「柳井正氏の怒り『このままでは日本は滅びる』」が見落としているもの。

ユニクロの柳井正氏の記事が話題だ。https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00357/?n_cid=nbponb_fbbn&fbclid=IwAR2b3Hr0YDXmARsBBCPUUoNc5upsiNQT2l-aKqiIwwSZgk3aFhGtP2N7vHU 危機感はおおいに共有するけれど、対応として「国の歳出を半分にして…

引く医者、引かぬ医者part.5~どんなときに"引く”のか

“引かぬ”医者になるための話のための超長い前フリ。 ルネ・デカルトは『方法序説』Discours de la methodeの中で、物を考えるにあたり4つのルールを自らに課した。1.明証性の尊重2.問題の分割3.単純性の尊重4.網羅的列挙である。 デカルト『方法序説』から安…

引く医者、引かぬ医者part.4~「病人を診ずに、病気を診よ」の話

“引かぬ”医者になるための話。 賛否もあるだろうし、誤解も生むだろうから、慎重かつ丁寧に書く。 〈「経験を積んだ医者ってのは、病気しか見ないものなんだ。おれはまだ、病人が見えるんだよ、君」〉(バルザック『ゴリオ爺さん』新潮文庫 平成十八年三十四…

グレタ・ティンベリ氏のスピーチを批判/賞賛するときにおさえておきたいいくつかのこと。

グレタ・ティンベリ氏の話。 本来、非常にシンプルな話である。ただし、いくつかのprincipleをおさえていれば、の話だが。principleのない議論は迷走しぐるぐると同じところを回り続ける。 principle1.いったん公開された言論のリングに上がったならば、批判…

引く医者、引かぬ医者part.3

医者には“引く”医者と“引かぬ”医者がいる。若いうちは“引く”医者のほうがよいが、ある程度の年代になっても“引く”医者である場合は、何か改善点があるかもしれない。 ある程度の年代になって、“引かぬ”医者であることを選択した。今まで若いころ“引いた”経験…

引く医者、引かぬ医者part2

“引く”医者と“引かぬ”医者がいる、という話を先日書いた。 大前提として、医者の職業人生の初期には“引く”医者であることが望ましいとぼく自身は思っている。医者という職業もまた、経験が持つ意味は大きい。若い時期に“引く”医者であることは、膨大な経験を…

"引く”医者、"引かぬ”医者

「医者には“引く”人と“引かない”人がいてね、“引く”人は一生“引く”んだよね…」何かを諦めたように、指導医O先生は言った。研修医一年めのぼくは、ただうなづくだけだった。 “引く”というのは医者のスラングの一つで、担当患者さんが急変したり重症化したりす…

中條医院にCT搭載車が来る理由。

〈「未来はすでにここにある。ただ、均等に行き渡っていないだけだ」 ウィリアム・ギブスン〉(ダグ・スティーブンス『小売再生』プレジデント社 kindle版2537/3969より孫引き) 過疎地の未来、というのを考えたことがある。点在する住居、まばらなインフラ…

ア・パーフェクト・モーメントー地上の記憶。

パーフェクト・モーメント。完璧な瞬間。足りないものなど何もない。余計なものも何もない。未来のようにいつも懐かしく、過去のように常に新しい、過去と未来のはざまに立ち上った奇跡の一瞬。旅に出ると、そんな完璧な瞬間を体験することがある。 モンゴル…

経営という名のスポーツ、という話。

「おれらがJ3だとすると孫さんはセリエAとか。たしかにフェイズは違うけど同じスポーツをやってる」彼は言った。「経営という名のね」 ある年の暮れ、日本橋の半地下のうどん屋でぼくらは出会った。ビールのおかげで舌も滑らかになり、互いに饒舌になる。「…

Netflix『全裸監督』の次に来るものー藤田田賛歌。

無茶苦茶な人というのは面白い。常人には思いもつかないことをさも当然のようにやってのけ、その逸話は人類の歴史に彩りを添える。 今現在マイブームの無茶苦茶な人といえば、藤田田氏である。言わずと知れた日本マクドナルドの創業者だ。以下、藤田氏の著書…

SHOWROOMとN国と崎陽軒ー余計な一言でムダな敵を作ってはいけない、という話。

言葉というのはおそろしい。たった一言で人の心をひきつけるかと思えば、敵を自ら作りだしたりもする。 昨日見つけたうまい一言をご報告したい。敵を作らず広く味方を増やす言い回しだ。<ビジネスパートナーは「東京の東側の匂い」がする人がいい>(前田裕…

官僚は政治家のどこを見ているか。

官僚が重視する政治家ってどんな人?やっぱり政策通とか?中央官庁に勤める友人に聞いてみたことがある。彼の答えは非常にシンプル。「んー、選挙に強い人」 価値判断や感情論は極力まじえずに書く。実質的に政策立案の多くを担い、それを遂行する社会的使命…

赤い車と青い鳥

「今日は赤」と心に決めて家を出る。駅までのいつもの道をいつもどおりに歩いていく。ルートはいつもと変わらないのに、今日は何かが違う。赤い車、赤い看板に郵便ポスト。コカコーラの自販機に電車の赤いライン。次から次へと向こうから情報が飛び込んでく…

もしハーバード・ビジネススクール教授が吉本興業の騒動を見たら。

吉本興業騒動のことを、クリステンセンならこう言うだろう。「『破壊的イノベーション』のプレリュードだ」、と。 『破壊的イノベーション』はクレイトン・クリステンセンが提唱した考え方で、ジョブズやインテルのアンドルー・グローヴに支持され(ウォーレ…

読書感想文に何を書いていいかわからない人のためにー「お題」+「Q思考」ですべての文章は書き上げられる。

「なにを書いていいかわからない」。文章を書く際によく聞く悩みだ。この季節、読書感想文に頭を悩ませる親子も多い。 そんな場合におすすめなのが「Q思考」(ウォーレン・バーガー著 ダイヤモンド社の同名書より)、クエスチョニングの手法だ。すべての文章…

『Q思考』-ラーニングの次に来るのは、クエスチョニング。

ラーニングの次に「来る」のは、クエスチョニングではないか。ウォーレン・バーガー『Q思考』(ダイヤモンド社)を読んで、ぼくは予感した。 クエスチョニングというのは文字通り、「質問すること」、もっと言えば「問い続けること」である。昔ながらの教授…

「選択肢のないことを悩んでも仕方ない」というアドバイス。

「選択肢の無いことを悩んでも仕方ない」その昔、ある先輩から言われた言葉だ。 心を乱され悩まされることというのは次から次へと起こる。その中のある程度は選択肢があり、ある程度は選択肢が無い。選択肢がある場合にはおおいに悩むべきだろうし、選択肢が…

夏と幸せと、死。

「幸せって何かって?うーん…」『世界一幸せな国』デンマークで、ぼくはある老人に聞いてみたことがある。 「幸せね…。例えばね、今、わたし達はコーヒーを飲んでいる。ドーナツをつまみながら、テーブルをはさんで、こうして話している。…だが、わたしの友…

「ヤバい人」とのつきあいかた。

詳しくは書かないが、人の世には「ヤバい人」というのがいる。この場合の「ヤバい」はillなスキルを持ったdeepでdopeな「ヤバい人」ではなく、sickでgrossでcreepyな「ヤバい人」のことだ(しかしググるとsickはcoolの意味でも使うんですね。マジやべえ)。…

集合知ー誰に投票するのが『正解』かわからなくても7月21日投票に行こう、という話。

唐突だが、多様性ってなぜ大事なのだろうか?そんな話から始めてジェリービーンズとクイズ番組の話をし、最後は「投票に行こう」というゴールを目指したい。 ビンにジェリービーンズを850粒入れて56人の大学生に見せる。ビンの中に入っているジェリービーン…

ぼくたちの失敗。

「子どもは人類の研究開発部門」。児童心理学者、アリソン・ゴプニックの言葉だ。(ウォーレン・バーガー『Q思考』ダイヤモンド社 2016年 kindle版930/4563)。 子どもたちが人類の研究開発部門だとすると、子どもたちに成功をもたらすのは何だろうか?人類…

メキシコの朝

「この町でいちばん安い宿に連れて行ってください」タクシーの運転手にそう言って連れてきてもらったくせに、いざその宿に着いて部屋に入ると湧いてくるのは後悔ばかりだった。 メキシコシティからバスで半日、熱帯林を切り開いたまっすぐな道をひたすら揺ら…

7月21日は参議院選挙ー公助の話(後編)

自助・共助・公助について考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 公助の話の続き。 前提として、この話は「公助なんて甘え。自助こそ至高」という考えの人に向けて書いている。そうした自助派の人が、「やっぱり自助は必要だけど、…

公助の話(前編)

ここのところ、自助・共助・公助についてまとめて考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp 今まで自助と共助について書いたので、少々荷が重いが、今度は公助について書く。 まず第一に、公助の起源(の一つ)は決して「慈善」だけではないということ…